夜の街。というのはみんな寝静まって誰も居ないもんだと思う。が、実際には良くも悪くも騒がしいものだ。居酒屋で酒を飲みまくって酔っ払ったオッサンやカラオケに入り浸って夜更かししている学生たちに喧騒が耐えない。「天〇天下唯我独〇!!!!主役は〇様!!!そ〇だろ!!!」的なこっぱずかしいことを叫んだりしているどっかの誰かさんみたいなやつがたくさんいるんだ。なんでか。いなければいいのに……と、まぁ考えてもどうにもならないことを頭から払拭し俺はその中を疾走する。凶器片手に。
しばらく人に見つからないように走っていたら、いきなり目の前に車が走りこんできて、急ブレーキをして俺の前に止まった。俺の足先数センチの所に。殺す気かあのやろう。
「おいおい。今回のは物騒だな。そんなモンそのまま持って走るなよ。俺ら関係者以外に見られたら確実に警察に通報されるぞ」
その車から何事もなかったように降りてきた蓮がもっともな事を言った。それを言ったら元も子も無いだろうが……
「うるさい。仕方ないだろ。今回のは大物っぽいから武器だって大型なんだろうよ」
「なるほど」
「なら、俺は行くぞ。ぱっぱと終わらせて寝たいんだ」
「ああちょっと待て」
「なんだよ」
「朗報だ。今回はお前の望みどおり早く終わるかもな」
「それは?」
蓮はニヤリとして言った。
「獲物の居場所がわかったぞ」